暗手
台湾のプロ野球界で八百長に手を染め、罪から逃れるために殺人を重ねた加倉昭彦は、過去を完全に抹消してサッカーの盛んなイタリアへと流れ着く。いつしかイタリアの裏社会で「暗手」と呼ばれる危険な何でも屋へと変貌を遂げていた彼の元に、サッカー賭博の帝王から日本人ゴールキーパーに八百長を仕掛けろとの新たな依頼が舞い込む。計画を着実に遂行しようとする加倉だったが、標的である選手の姉の写真を目にした瞬間から封印したはずの過去の記憶が甦り、歯車が狂い始める。血まみれの絶望と孤独を描き出す究極のクライムノベル。
💡 おすすめポイント・見どころ
泥沼のような裏社会を生きる男の乾ききった魂と、決して拭うことのできない業の深さを描き出させたら、この著者の右に出る者はいません。一度狂い始めた運命の歯車が破滅へ向けて猛スピードで加速していく圧倒的なスピード感は、ページをめくる手を強制的に止めさせるほどの魔力を秘めています。救いのない闇のなかで微かに光る人間の業の哀しさに胸を撃ち抜かれる、ノワール小説の到達点とも言うべき圧倒的な傑作です。