虚の伽藍
金をつかんだ者が京都を制する、バブル期古都の暗部。日本仏教の最大宗派・燈念寺派では、弱者救済を志す若き僧侶・志方凌玄がいた。だが、当時の京都を支配していたのは、暴力団、フィクサー、財界重鎮、市役所職員など、古都の金脈に群がる魑魅魍魎たち。腐敗しきった燈念寺派を正道に戻すため、凌玄はあえて悪に身を投じる道を選ぶ。金にまみれた求道の先に、彼を待つのは仏の顔か、それとも鬼の道か。圧巻の社会派巨編。
💡 おすすめポイント・見どころ
仏門という清浄な世界と、バブル期特有の汚濁した金銭感覚の対比が、物語の緊張感を極限まで高めています。ただ悪を成敗する単純な勧善懲悪ではなく、善悪の境界線で揺れ動く人間心理をえぐり出す手腕には脱帽せざるを得ません。信念を貫くために堕ちていく主人公の姿からは、目をそらしたくなるほどの凄みが伝わります。結末で提示される「虚の伽藍」の意味を、ぜひあなた自身の目で確かめてください。