雪の階
💡 死んだはずの親友から届いた、仙台消印の葉書。
昭和十年秋、伯爵令嬢・惟佐子は親友の心中事件に隠された奇妙な違和感に気づく。富士の樹海で陸軍士官と共に遺体で発見されたはずの彼女から、なぜか遠く離れた仙台発の葉書が届いていたのだ。この謎を追う惟佐子の周囲で、ドイツ人ピアニストや新聞記者、軍人である兄らが複雑に交錯し始める。やがて個人の死の謎は、歴史の歯車を狂わせる二・二六事件へとダイナミックに繋がっていく。
💡 おすすめポイント・見どころ
昭和という時代の空気が持つ重厚な陰影と、精緻に張り巡らされたプロットの美しさが光る歴史ミステリの傑作です。一つの不可解な死の謎から始まり、国家の動向と個人の運命が次第に絡み合っていく構成の妙に唸らされます。戦前日本の緊迫したリアリティを感じさせながら、鮮やかなロジックで事件の真相へと迫る筆致の冴えを存分に堪能してください。