帝国の弔砲
ロシア沿海州に開拓農民として入植した日本人の次男・登志矢は、鉄道技能士として働き始める。しかし世界大戦のさなか帝国軍に徴兵されて過酷な前線を生還したのも束の間、復員した帝国には革命の嵐が吹き荒れていた。やがて時代のうねりに呑み込まれた登志矢は、ロシアで生まれ育った数奇な運命に導かれるように工作員として日本への潜伏を余儀なくされる。悲嘆と憤怒が男を突き動かす改変歴史冒険小説。
💡 おすすめポイント・見どころ
歴史の大きな歯車に翻弄された個人の生と死を、圧倒的な筆力と壮大なスケールで描き切った歴史冒険の傑作です。日本とロシアの狭間でアイデンティティを引き裂かれながらも、復讐と生存のために闇を駆ける主人公の姿には、むき出しの人間ドラマが宿っています。ミステリの名手が仕掛ける緻密なプロットと、緊迫感に満ちた諜報戦の描写が見事に融合し、読者を激動の時代へと一気に引きずり込みます。歴史の「もしも」の向こう側にある真実に、心臓の鼓動が高鳴る一冊です。