幽玄F
重力・Gの支配下にある大空へ挑む、航空宇宙自衛隊員・易永透。戦闘機F-35-Bのコックピットという閉鎖空間で、彼はただ己の魂を極限まで研ぎ澄ます。日本、タイ、バングラデシュを跨ぐ壮大なスケールで描かれる、戦後日本の精神構造への挑戦状。空を夢見た少年の翼は、護国の空という現実の中でいかなる軌跡を描くのか。直木賞と山本周五郎賞を制した『テスカトリポカ』から二年の沈黙を破り、佐藤究が到達した孤高の境地。魂の垂直離陸が、今、読者の視界を切り裂く。
💡 おすすめポイント・見どころ
戦闘機という無機質な機械と、それに人生を捧げた男の剥き出しの孤独が見事に調和しています。空を支配したいと願う青年の執着が、日本の戦後史と重なっていく様子は圧巻です。ハードな質感の中に漂う耽美的なまでの空への憧憬は、読む者の脳裏に鮮明な映像を焼き付けることでしょう。