探偵さえいなければ
関東随一の犯罪都市と噂される烏賊川市では、連日奇妙な事件が巻き起こり、私立探偵・鵜飼杜夫が奔走する。しかし、この街には事件だけでなく探偵も数多く存在しており、ひょっとすると探偵さえいなければ平和裏に済むのではないかと疑念を抱かせるほどである。日本推理作家協会賞にノミネートされた佳編「ゆるキャラはなぜ殺される」をはじめ、一癖も二癖もある奇想天外な事件の数々が住民たちを翻弄する。予測不能な展開と軽妙なやり取りが織りなす、安定感抜群のユーモアミステリ傑作集。
💡 おすすめポイント・見どころ
本格ミステリの緻密な構造を維持しながら、これほどまでに脱力系のユーモアを全篇に漂わせることができる手腕にはただただ脱帽するほかありません。シリアスな事件が起きているはずなのにどこか呑気でコミカルな空気が漂う烏賊川市という舞台そのものが、最高に魅力的なキャラクターとして機能しています。頭をからっぽにして極上の謎解きと巧妙なユーモアの応酬に身を委ねたいとき、これほど頼もしい一冊は見つからないでしょう。