潮首岬に郭公の鳴く
函館の著名な岩倉家の三女が忽然と行方を絶ち、海岸の遺留品の近くから血糊のついた鷹のブロンズ像が見つかる。それは家にあって芭蕉の短冊額の句に見立てられたものだった。やがて三女の遺体が発見されるものの犯人の手掛かりは掴めず、事件はさらに予期せぬ展開へと加速していく。美しくも残酷な俳句の暗号が、隠された人間の狂気と秘密をあぶり出していく。
💡 おすすめポイント・見どころ
芭蕉の句に見立てられた連続殺人と、函館の冷徹な空気感が織りなす本格本格推理の重厚な一冊。美しい俳句の裏側に隠された凄惨な意図と、幾重にも張り巡らされた伏線が読者を煙に巻く。事件の背後にある一族の因縁や人間の業が、静謐な筆致で丹念に描き出されており、謎解きとしての完成度も抜群の読み応え。