闇に用いる力学 <赤気篇>
💡 私たちは本当に世紀末を乗り越えたのか。
都心の住宅街に突如として現れ、決して捕獲されない神出鬼没の人喰い豹。その恐怖が静かに広がる中、軌を一にしてヘリコプターと旅客機が相次いで墜落し、連続爆弾事件までもが発生する。終末に向かって加速していくかのような不穏な出来事の裏で、子供たちが自発的に姿を消す奇怪な蒸発事件が各地で報告される。超能力を手に入れた少年たちの噂が飛び交う中、事件の真相はいまだ杳として知れない。
💡 おすすめポイント・見どころ
世紀末という特異な時代の空気を色濃く反映させながら、現実と非現実の境界線を曖昧に揺さぶる竹本健治の真骨頂が味わえる作品です。次々と発生する常軌を逸した事件の数々と、そこにまとわりつく不気味な予感が独特のドライな文体で描かれ、独特の浮遊感へと読者を誘います。論理と狂気が交錯する世界観に一度足を踏み入れたら最後、二度と抜け出すことができない強烈な魅力を放つ一冊です。