暗い越流
五年前の凄惨な暴走事件を引き起こした死刑囚宛てに届いた一通のファンレター。その差出人である女性の身辺調査を依頼された「私」は、彼女が同じ嵐の夜に失踪していた事実に行き着く。さらに、女性の自宅と死刑囚の生家が目と鼻の先であるという奇妙な符合が発覚する中、折しも日本列島に超大型台風が迫りつつあった。短編ミステリーの醍醐味である濃密な謎解きと、著者特有のビターな読後感が絡み合う傑作短編集の表題作。
💡 おすすめポイント・見どころ
日常のすぐ隣に潜む狂気と、巧妙に張り巡らされた伏線が短いページ数の中で見事に収束していく、極上の短編ミステリーの真骨頂です。平穏な日常がわずかなほころびから崩れ去っていく過程の不気味さと、著者ならではの容赦ない視点が光ります。短い尺でありながら長編に匹敵する読み応えをもたらす、ミステリーファン必読の巧みな構成力に圧倒されます。