やっと訪れた春に
二人の藩主を擁する橋倉藩。次期藩主の急逝により、百十八年続いた二家交代の歴史が終わりを迎える。派閥の対立が解消され平和が訪れるはずだった矢先、藩の重鎮が暗殺される。隠居した身である近習目付の長沢圭史は、加齢の身体を抱えながら独自の探索に乗り出す。
💡 おすすめポイント・見どころ
藩主が二人いる特異な藩の終わりと、そこに隠された暗殺事件の謎を老武士の視点から淡々と描き出す時代ミステリです。全盛期を過ぎた身体の衰えを自覚しながらも、己の職分と矜持を胸に奔走する男たちの姿が圧倒的なリアリティで迫ります。名もなき人々の生と死を鮮やかな筆致で切り取る、静謐でありながらも力強いドラマの深みをぜひ味わってください。