『このミステリーがすごい!』非公式サイト 【このミスまとめ】

用語集Glossary

用語集

読書をする上で、または解説を読むうえで度々難しい用語を目にすることがあります。その際にそれらの意味を知っていないと面白みも半減します。

例えばミステリに度々登場する「瓜実顔」(うりざねがお)なんていう言葉は「整っている顔」という意味がありますが、普段使用することはありません。

本用語集で、誰かのちょっとしたモヤモヤが解消できれば幸いです。

あ行

用語 意味
アナグラム
(あなぐらむ)
言葉遊びのひとつで、ある文字の単語を入れ替えることで別の意味を持たせること。
小説では暗号文や登場人物の名前に用いられることがあります。
アリバイ
(ありばい)
犯行時には現場には居なかった、現場への移動は不可能だったなどの現場不在証明のこと。
コレが証明されれば、当人に犯行は不可能であると証明されるのですが、これを逆手にとったミステリも。
瓜実顔
(うりざねがお)
登場人物の特徴としてよく書かれる表現です。
色白で面長、整っている顔という意味があります。
現代社会でこの言葉を使用している方には出会ったことがありません。

か行

用語 意味
カタルシス
(かたるしす)
簡潔に言うと、文学作品への感情移入のこと。
古代ギリシャのアリストテレスの演劇論「詩学」の中で使用した言葉が発祥らしいです。
小説を読んで涙したり驚いたりした際の感情の高揚や、読了後の爽快感などのことと捉えると分かりやすいと思います。
ちなみに「カタストロフィ」(大惨事)とは何の関係もありません。
クライムノベル
(くらいむのべる)
読んで字の如く、犯罪小説のこと。
主人公側が犯罪者の場合が多い気がします。
クロニクル
(くろにくる)
和名では「年代記」に当たり、事件や出来事を年毎に綴った歴史書のこと。
小説の題名にも用いられることがあり、有名な作品には『砂のクロニクル』(船戸与一)、『ねじまき鳥クロニクル』(村上春樹)などがあります。
クローズド・サークル
(くろーずど・さーくる)
物理的に外部と遮断された状況。
主な舞台は孤島や、外部との連絡が取れない洋館など。
閉塞された状態で、犯人は自分達のメンバーの中に居るかも…という緊迫感が楽しめます。
大抵の場合、連続殺人へと発展していきます。
また、物理的に遮断されていないが心理的に脱出できないような状況も、広義の意味でのクローズド・サークルと言えます。
このミステリーがすごい!
(このみすてりーがすごい!)
通称『このミス』。宝島社が発行しているミステリガイドブック。
毎年12月初旬に発刊され、ミステリファンの注目を集めます。
コージィ
(こーじぃ)
「コージー」とも呼ばれますが、この言葉自体は近年はあまり使用されていないような気がします。
親子や隣人との狭い範囲で起こる事件を取り扱った小説のことを指すそうです。

さ行

用語 意味
作中作
(さくちゅうさく)
小説の登場人物が、さらに作中で書いた小説など登場するとこう呼ばれます。
小説の内容なのか、それとも作中作の内容なのかを混同させるために用いられることもあります。
サスペンス
(さすぺんす)
登場人物(主人公)が予期せぬ事件に巻き込まれ、時に事件から逃れようとし、時に事件を解決する作品のジャンル。
スリリングな展開が特徴。
サスペンスも広義の意味でのミステリとして扱われることも多く、『このミス』にもサスペンス作品が数多くランクインしています。
サーガ
(さーが)
「サガ」とも呼ばれます。
アイスランド語で「物語」を意味する言葉。
ある地域や人物を中心とした物語を「○○サーガ」と呼ぶこともあります。
新本格
(しんほんかく)
個人的な考えとしては、トリックに重きを置いたバリバリのミステリ小説のことだと思っています。
「新」本格と銘打っているだけに、普通の本格も存在するのですが、定義は曖昧なようです。
80年以降にデビューした作家によく冠される定義ですが、何を以って本格とするかは人それぞれではないでしょうか。
この用語については議論するとキリがないので、ミステリを愉しむだけならさほど木にする必要はありません。
社会派
(しゃかいは)
社会問題を切口にしたものや、社会的背景のある作品のジャンル。
松本清張が第一人者らしいです。
内容が難解なものが多く、読む人を選ぶ作品です。
初版
(しょはん)
小説などが出版される際の、最初の版数の意味。
出版社によっては「第1版」と書かれますが、初版と同義です。
混同しやすいのが「初刷(しょずり・はつずり)」(第1刷)であり、これは何度目かの印刷かを表します。
例えば「初版第第1刷」、「初版第第2刷」は版数(本に記述されている文章)は同じですが、初めて印刷されたか2回目に印刷されたかの違いのみで、内容は全く同一です。
初版本はその本の価値が上がり、愛好家の間で高値で取引されることもあります。
叙述トリック
(じょじゅつとりっく)
文章、言い回しで読者を誤解させるトリック。
読者に何らヒントを与えない叙述は「アンフェア」でありしばしば論争の対象となっているようです。
ちなみに、このトリックを用いた作品は映像化は困難だと言われています。
生活反応
(せいかつはんのう)
動物(人間を含む)が生存している間にのみ起こる反応のこと。
例えばある外傷が生存時につけられたものか、死亡後につけられたものかを、この生活反応を確認することで判定することが可能です。
ですので、窒息死させた後に拳銃で頭を撃ち抜いて自殺に見せかけようとしても、一発でバレてしまうということですね。
装丁
(そうてい)
本のホームやカバーなどを付け、デザインすること。
コレの良し悪しで購買意欲(売上)が変わります。
内容を確認せず、表紙の見た目で判断し購入することを「ジャケ買い」と言います。

た行

用語 意味
駄作
(ださく)
つまらない作品のこと。
またの名を「壁本」。
単行本
(たんこうぼん)
主に小説は初めはこのタイプ(大きさ)で発刊されることが多いです。
文庫本よりかなり大きいサイズで価格も高いですが、丈夫で長持ちします。
単行本で人気のあった作品などは、数年を経て文庫本になります。
ならないものもあります。
積読
(つんどく)
文字通り、読んでいない本を積んでいる状態です。
「行けたら行く。」 ⇒ 行かない。
「暇ができたら読む。」 ⇒ 読まない。
倒叙
(とうじょ)
あらかじめ読者に犯人を伝えておく形式のことを指します。
このジャンルは、好き嫌いがかなり分かれるのではないでしょうか。
昔のドラマで言うと「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」が有名です。

な行

用語 意味
ネタバレ
(ねたばれ)
ミステリ好きなら誰しもが経験したことがあるでしょう。
ツイッターなどで悪意を持ってネタバレしてくる方もいるので要注意。

は行

用語 意味
ハウダニット
(はうだにっと)
「How has done it?」を日本語読みしたもので、「どのようにやったのか?」の意味。
トリックの解明に重きを置いたミステリです。
バカミス
(ばかみす)
「バカミステリ」の略。
馬鹿らしいけれど愛すべき作品をこのように形容するらしいですが、単純に本当に読む価値のないバカミスは「壁本」と言われます。
ハードボイルド
(はーどぼいるど)
探偵や警察官が立ち回る、ミステリには重きを置いていない硬派なジャンル。
定義が難しく、故に説明も難しい。
「サスペンス」と同様、抗議の意味ではミステリに含まれることが多いです。
伏線
(ふくせん)
物語の結末に向かっていく過程において、それとなく呈示される後の展開に必要な事象やキーワードのこと。
「伏線を張る」、「伏線を敷く」のように使用され、それまでに使用された伏線から物語を発展させることを「伏線を回収する」と言います。
伏線を回収しきれなかった作品は、駄作とみなされることも多々…。
フレアスカート
(ふれあすかーと)
登場人物の服装としてよく登場するスカートの種類。
さも皆さんご存知のようにミステリには登場しますが…。
裾が広がっているタイプのスカートのことを指します。
フレアとは、「あさがお形に開く」という意味があるそうです。
フーダニット
(ふーだにっと)
「Who has done it?」を日本語読みしたもので、「誰がやったのか?」の意味。
犯人当てに重きを置いたミステリで、最も王道のジャンルのひとつです。
冒険
(ぼうけん)
小説のジャンルのひとつであり、読んで字の如く冒険的要素を含んだ作品のこと。
広義の意味でのミステリのジャンルのひとつ。
ホラー
(ほらー)
『リング』などでおなじみ、もはや説明不要のジャンル。
最も映像化し易いジャンルのうちのひとつであり、文章では表現できない効果音で視聴者を驚かせることが多いです。
ホワイダニット
(ほわいだにっと)
「Why has done it?」を日本語読みしたもので、「何故やったのか?」の意味。
動機に焦点を当てたミステリです。
本格
(ほんかく)
これといった定義は存在しません。
所謂「謎解き」は大抵本格に当たるのではないでしょうか。
考えは人それぞれですので、ミステリを愉しむだけなら「本格 = 犯人当てミステリ」程度に捉えておけばOKです。

ま行

用語 意味
ミステリ
(みすてり)
推理・探偵小説などの総称。
「ミステリー」の方が一般的かもしれません。
日本語では「謎」という意味ですが、謎解きがメインの小説はこのように呼ばれます。
ミスリード
(みすりーど)
読者に誤解をさせたり、思考を誤った方向へ向ける手法。
「ミスディレクション」とも呼ばれます。
密室
(みっしつ)
どこからも入れないし出られない、一種のクローズド・サークル。
内部で遺体が発見されるが犯人の姿がないのが密室ミステリの王道。
メタ
(めた)
小説に限ると、「小説のより上位の位置からの視点」のことを言い、つまり「上位」とは読み手、読者のことを指します。
本来であれば小説の登場人物が知り得ない読み手側(現実世界)について言及する発言などを「メタ発言」と言います。
登場人物のそういった言動を「メタい」と表現したりもします。

や・ら・わ行

用語 意味
ライトノベル
(らいとのべる)
通称「ラノベ」。
ライトな感じで読める作品が多いですが、しっかりとしたミステリの作品も多数存在します。
10代の若者によく読まれており、ホームはアニメ(美少女)キャラが描かれていることが多いです。
ロジック
(ろじっく)
英語で「道筋」を意味し、ミステリでの仕掛けのことを指します。
ミステリ書評なでで「ロジカルな~」のような表現をすることもあります。

英数字

用語 意味
SF
(エスエフ)
「Science Fiction(サイエンス・フィクション)」の略であり、空想科学のこと。
要は現実には不可能な事象が盛り込まれているジャンルです。
タイムリープや超能力、ゾンビやモビルスーツなどもSFです。
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