幸
💡 哀しい秘密と過去の事件。はぐれ者コンビが守る尊厳。
不法侵入の通報を受け、早朝の商店街へ駆けつけた海坂署の寺沢恒彦。侵入者は認知症を患う老女だった。新しい相棒・一ノ瀬明子とともに捜査を進めるうちに、老女に隠された哀しい秘密が浮かび上がる。さらに現在と過去の殺人事件が複雑に絡み合い、事態は思わぬ方向へと転がっていく。出世コースから外れた訳ありのふたりが、ささやかで愛しい人間の尊厳を守るために難事件へ挑む、著者渾身の長篇警察小説。
💡 おすすめポイント・見どころ
効率や出世主義が蔓延する警察組織の中で、あえて名もなき弱者の尊厳に寄り添う刑事たちの姿に胸が熱くなります。認知症の老女が抱える哀切な秘密と過去の殺人事件が美しく繋がるミステリーとしての妙味に加え、不器用なバディが見せる確かな絆の描き方が見事です。乾いた謎解きだけでは味わえない、人間讃歌の余韻を噛みしめる一冊です。